総理の夫 / 原田マハ
突然やってきた夏の暑さに、まだまだ身体が慣れていない今日この頃。
よくよく考えてみると、またこの人の作品を読んでるなぁ、と思った。
そして、この人の言葉には力がある、とも。
ここぞ、というときの言葉の使い方、広げ方、選び方が、本当に「グッとくる」のだ。
内容がどうこうという話ではなくなってきたのは、今回のキャラクターはあまり人間らしくないような気がしたから。
「キャラクターとしてのイメージ」はできるけれど、その姿があまりにも「人間くさく」ないのだ。なんというか、「わかりやすい」のだ。
それが良くもあり、そうでなくもあり、そのお陰で、物語がスッとしている、爽やかなんだと感じる。
それにしたって、この人の構成と言葉の運び方は、毎回違うパターンの水戸黄門を見てるかのようだ。ちょうどいいところで、印籠バーン、みたいな。
とにかく、気持ちのいいのだ。
ただ今回の、いつもと違う感覚は、扱う題材の差だと思う。政治とか政策とか、そういう要素が及ぼす影響は拭えない。
気持ちがいいからなんにでも安易に頷けるわけではない。
なにが大事か考える機会は大切で。
そういう意味では有用で。
それ以上に大きいのは読後感。
それに関しては一発クリア。
暑さに負けない強さはまだ手に入れていないので、体調を崩さないように気をつけるしかない。
対策をとることが大切。