On the way

思いつくまま気の向くまま

ふたつのしるし / 宮下 奈緒

いつ手に取ったかは忘れてしまった。

だいぶ前から本棚にそっと置いてあった。

この作者さんの本を一時期集めて、静かに鎮座したそれらを、少しずつ少しずつ開いてみることにしたのです。

 

いつ、この2人の物語は交差するのだろうと、思いながら読んでいました。

どちらの幼少期、多感な時期にも、さして共感はせず、ああそういうことってあるよね、という感覚も、どこか大人になったら自分が少し引いて見ている、他人事のように感じながら。

 

ただ、流れてくる文章の透明さがあった。

彼彼女には強く刺さった出来事も、刺さったことはわかっても、静かに流れていく文章が心を落ち着かせ、強い衝撃を緩和するようだった。

 

しるしのことはわかるような、よくわからなかったようなだけど、まぁきっと私の解釈が浅いということでここはひとつ。

解説に出てくる懐かしい歌が頭の中を反芻する。

 

昨日見たドラマ、マイ・セカンド・アオハルの、火葬場までいくあっという間に過ぎる一生を思い浮かべる。

 

緑の道を歩きながら、歩いているから目は瞑らないけど、両の手の指を少しまるくして、髪の毛を少し避けて、両の耳をすっぽり覆う。

空気がぶわっとかぶさって、多くの音が遠くになる。

耳は勝手にこんなにも音を拾っていたのかと驚き、覆ったほんのわずかな空間に生まれた自分だけの空気を存分に吸う。

ときどきこれをすれば、忙しい頭が少しリセットされそう。

 

気がつけば週末になるせわしない日々だけど、深呼吸は忘れないほうが良い。

そんなことを感じる、読後感。

もしもし

考えすぎないことで見えてくるものがある

あと一歩、踏み込めば良いだけ

難しく考えるのはかえって物事を複雑にする場合がある

ただし、簡単に考えるだけでは掬い取れないこともある

この匙加減、難しい

 

やるべきことをひとつずつ

目の前のことをいっこずつ

それだけ それだけ

 

もしもし

というのも、もし、の繰り返しの言葉

おんなじ音を繰り返す

好きならもしもしで振り向くだろうか

無題

夢をみた

とてもかなしい夢だった

二度寝したことを後悔した

 

大切な人を失う夢だった

 

悲しくて悲しくて

それでも見上げた空が青く 青く

深く青く

雲の厚さは壮観で

それでも進むのだと

立ち止まりながら

頭ではわかっている夢だった

 

図書館のような 本屋のような

そんな場所を走り抜け

坂道を駆け降り

みんなで必死に探した

 

でも

いくら叫んでも

戻らない夢だった

 

気がつくと一人

登って家族を見つけ

まぶたが潤んだ

 

大切にしよう

できるだけ

後悔しない分だけ

 

夢でさえ

深く 重い

もう少し

もう少し もう少し

と、唱えるように祈っても時間は有限で

今日も明日も足早にやってきては過ぎていく

それは素晴らしくもあり惜しくもあり

明日のわたしもあなたもきみも

何が1番かはわからない

 

ただひたすらに無事を願う

なにもないと思う日常は思ってるより忙しく回ってる

 

きっともう一周する

話の分かれ道を越えたと思っても

もう一度戻ってくるみたいに

復習して

 

今日のわたしは、

たぶん明日と地続き

 

正解は選んだものということで

振り返らなくていいからね

かがみの孤城 / 辻村深月

ほんとうはもっとやらなきゃいけないことがあった気がするんだけど、駆け抜けるように読んだ本だった。

 

偶然、はじめて行った図書館で見つけた、数年前に話題になった本。

いつか読もうと思っていた。

けど勉強があるから今はやめとこうかな、と見つけた瞬間思った。

小さな図書館を一周して、こういうのは出会いだなって思って、手に取った。

 

ぶっちゃけいうと、最初の方、ありがちな設定だなーと思った。

学校行ってない子が不思議な世界へ。

最後は、仕掛けが次々明かされていく、どんどん扉が開いていくような感覚で、スカッとした。面白かった。

予想が当たった部分もあるけど。

 

昔くじけたとき(学校は行ってたけど)、実はこんなことがあったけど覚えてないだけで救われてたりして…

そんな気持ちにさせられました。

 

最後の最後に、はっと、そうだったんだ!と、させられます。

面白いです。

ひとみ

こちらを見て

眉をひそめて不満げな表情をしてみたり

かと思えばにこにこ笑って声を出し

おしゃべりがすきかと思えば

窓の外へと目をやって

きらきらした目で空を見る

横顔のまんまるおめめは清廉で

なにを考えているのかと思えば

大きなあくびをしている

 

視力はまだ低くても

見えていなくても

見えるものがあるかのように

大きなひとみは

楽しそうに動く

 

それを見るのが

楽しくて嬉しい

小さなて

私の腕の服をちょこんと掴む小さな手

 

このこは私をやすらぎの場と思ってくれているだろうか

 

そのめで見る世界はきちんと優しいだろうか

 

どうかそのてで自分の顔を傷つけないでほしい

 

あいらしいこえとのおしゃべりは豊かで

 

ほほよせた体温にひと息つく

 

与えているようで与えられている

 

あなたのおかげで今日も小春日和