On the way

思いつくまま気の向くまま

聞く力 / 阿川佐和子

ちょうど、読んでいる本が難しい章で、なかなか進まなかったのです。そんな時期に勧められたのがこの本。もともと名前は知ってたけど、読むつもりはあまりありませんでした。

 

実は私、この方のこと、よく知りませんでした。小柄で可愛い、ちょっとお調子者風のおばさん、くらいに思ってました。(直球ですみません…)

本を勧められる数日前、30分の対談番組に出ていて、「あ、こんな経歴の人なんだ」と知ったのです。

 

文章は、本当に話を聞いているみたいで読みやすい本でした。テンポよく進みます。ハウツー本ではないでしょう。エピソードが多様で面白かったです。

 

インタビューの心構えを、なんとなく知ることができます。

インタビュー前に質問を固め過ぎたり、想像力が働き過ぎてもよろしくなさそうです。

 

なにより、冒頭ではっとさせられました。

 

「『聞く』だけで、人様の役に立つんだ」

 

アガワさんがはっと気づいたように、私もはっと気づきました。なんかそれなら、私でも少しは役に立てそうな気がする。

 

そしてもう一つ、何百回という街頭インタビュー。怒られたり、断られたり、親切に答えてもらったり。

忍耐強さとか、粘り強さとか、諦めない、めげない、少しくらい面の皮は厚いほうが良いとか、そうなりたいと思いました。私、すぐめげそう(笑)

 

あと、会話は心でするということ。テクニックは役に立つこともあるけれど、それよりも気持ちを相手に傾ける、まさに耳を傾ける、そっちが一番大事だなと。今更なんだと思われるかもですが、先を読んでしまうタチでして、次の言葉がどんどん出てきてしまったり、次の話題をすでに頭の中で検索してしまったりしているのです。

大事なのは「今」だと。先読みしたら偉いんじゃないし頭いいんじゃないし。

相手と向き合うこと。ここ重要です、テスト出ます、って言われた気分(笑)

 

直さなきゃと思っている、相手の言葉の終わりを食い気味なところはやっぱり直そう。

もともと、相手の話のあと、次の言葉が出てこなくて変な沈黙を作ってしまった経験から、終わりを読んでコンマ1秒とかで発言するようになったのがきっかけ。

いつの間にか先読みして、話が盛り上がるほど食い気味になるようになってしまった。こちらとしては盛り上がってるつもりだけど、相手はどう思っているのやら…

 

昔、あるときふと、「会話には正解があるんじゃないか」と気付いて、それを年上の人に言ったら、「そんなの当たり前じゃん」と言われたのです。やっぱり、という気持ちと、衝撃と、そしてなにより小心者な私はビビってしまい、その後数年(ほぼ最近まで)は「なにが正解か」しか考えてこなかったと言っても過言ではありません。当たり障りなく、ひとを不快にさせない、そんな考えでした。もちろんそれも一理あるし、実際マニュアル的な受け答えがあることも事実ですよね(?)

 

でも、それだけじゃないというか、それは付随的なものに過ぎなくて、芯にはならないというか。

 

心を傾ける。寄り添う。

面白そうなところを探す。それを問えば良い。興味が湧いてくるかもしれない。新しい発見があるかもしれない。

聞く力って、ひとに関心を抱くことかもしれない。