On the way

思いつくまま気の向くまま

思考の整理学 / 外山滋比古

これはハウツー本ではない、というあとがき通り、ハウツー本としては読みにくく、あくまで読み物である。

 

他の本を検索していたところ、見つけた本だった。

 

ものを考えるには朝飯前が一番

忘れること、寝かせることで考えは熟成する

こだわりがあってはいけない

一つのことばかり考えるより、一度忘れて他のことに取り組むとよりよいアイデアが生まれる

自分を褒めてやること、同時に、他人を褒めること、暗示というのは大きい

他者を褒めるという行為に特段の意味は必要ない、あいさつくらいの気持ちですることがよい

 

例えば"朝飯前"の時間を伸ばす方法は、少なくとも決まった時間に勤務する人間には難しいだろうし、思考をまとめるメモ法だって実際にそこまでできるかは微妙だ。几帳面でなくてはならない。

 

でも、なるほど、これからは頻繁に自分の考えをメモしようと思うし、同時に忘れない大事なこととの区別も必要だろう。

忘却についてかなりの記述があったが、これがコントロールできたら素晴らしい。

思考は少しの間忘れて寝かせた方が良い。また、本当に身につくこと、もの覚えるというのは関心がものをいう。関心のあることは忘れない。

 

少し話は逸れるけど、カーネギーのこんな言葉がある。

 

過去を建設的なものにする方法は、天下広しといえども、ただ一つしかない。

 

過去の失敗を分析して、なにかの足しにする。

 

あとは忘れ去ることだ。

 

***

 

この本と同時期に見た番組がある。あるドイツの哲学者にクローズアップされた特番だった。

 

彼の言葉を、いくつか。

映像だから、そのままではないけれど、ニュアンスだけ。

 

・地球環境の問題は科学でないと解決できない。

民主主義の問題は哲学でないと解決できない。

(聴いててなんかかっこよかった。英語の対比の感じが。内容に100%頷けるかと聞かれると…?意味がわからないってことではなくて。)


・「自由」に考えることに最上の価値を置くべきです。

(言葉通りに意味を掴むならば、大きく賛成の手を挙げたい。思考の自由は、一番大切なことだと思う。なぜ、思考ではなく思想という言葉を使うと、急に宗教の香りがしてくるのだろう。日本語の不思議。)

 

・「今」幸せを感じなければ、いつかの未来に幸せは訪れない。

(これについては、多くの哲学者や偉人は総じてこう言うなぁと最近思っている。だからという訳ではないけれど、そうなんだなと思う。そして、誰もがそれを軽々とできたら世界は平和なのだ。)

 

・あまりに完璧な秩序は悪なんだ。

(なんだか心にちくりときて、そしてすとんと落ちてきて、とても納得。)

 

彼は渋谷のスクランブル交差点を見て、東京の人々を見て、「この経験は僕の哲学に大きな影響(変化)をもたらすだろう」。

 

 

誰しも思考は変化・更新されていくもので、それが当たり前。
昔は、全ての価値観を理解した上で考え、判断したいと思っていたから、判断や決断をすることにとても慎重だった。無知な自分に決められることなどとても少ないと思っていた。

でも、他者が他文化を完全に理解することが不可能なことは自明で、同様に他者を完全に理解することは不可能で、だから、今の自分の意見を述べることは、黙って保留にするより、ベターなのかもしれないと最近思い始めた。

新しい知識を得たら更新すれば良い。

もし誰かか、以前言ったことと違うじゃないかと言われればこう言えば良い。

「私の意見は変わりました。」

 

とにかく声に出す、発言する、表現する。

 

本書に、自分の考えは不用意に人には伝えないことと、他者と話すことで新しい何かが生まれるということ、声に出すことで思考が整理・分析されていくことと書かれていた。(気がする。もう読み終わってから少し経ってしまったのだ。)

 

本書を読むと、物事の二面性がよくわかる。あらゆる物事は、良くも悪くも作用する。プラスを取っていければ、きっと上手くいく。そしてプラスを取っていく一番の方法は、そこから心を外すこと、こだわりをなくすことだ。

(昔はこれ得意だったんだけどな!笑)

 

コンピューターが現れて、知識だけじゃだめだ創造的な人間にならなければと書いてあるけど、私はやっぱり知識も自分の頭に入っている人になりたい。

歩く百科事典にはなれないけれど、本を確認しないと確信の持てないような心許ない知識じゃなくて、自信の持てる知識と、そこに自分の意見を添えて、いつでも引き出せるようになりたい。

 

考えることはやめないけれど、考え方は、より深く、現実的に、そして気楽に。