木のいのち 木のこころ 天・地・人 / 西岡常一 他
昔から、宮大工に憧れがあった。
木を扱う職人さんにぐっとくるものがあった。
そんな私の好みなんて知らない友人から、面白いと紹介された本だった。
必要な時期に、必要なものは手に入る。
読み始めた時、そういう気持ちになった。
時間がかかるということ、忍耐が必要だということ、ひたむきな努力が必要だということ。
どれも私に足りてなくて、そして、どうしようかと悩んでいたときだった。
語りかけるような話し方は目の前に聞こえてくるようで、紡がれる言葉は現実を背負ったものだった。
それだけの時間の積み重ねが、重い。
時間が経つにつれて土台の木材が圧迫されて徐々に密度が高くなってぎゅっと詰まったような、そんな感覚にさせられる。
これが、西岡さんの「天」
鵤公舎を創った小川さんは、とにかく目の前を見る人だろうと思った。色々あるんだろうけど、その上で複雑に考えない、そう決めているんじゃないだろうか。
時代を読む、生き残るにはどうしたら良いか、廃れる伝統を残す手法、考え方。
残すのがとても難しい方法を、繰り返すことで残そうとして、でもそこには、何か不足しているものがあるし、そう感じる人もいるけれど、進むしかない。
とっても現実的に考えている。
考えても仕方がないこともあるという事実を知っている。
繰り返すことで、何かを得てきた人は知っている。
いろんな木がある、それはいろんな人がいるのと同じこと。
癖をいかすことを考える。
最近は、自分が自分であることを否定しなくなった。
考えても仕方のないことは、考えないことにするようになった。
積み重ねることも大事だし、それと同じくらい、気づく瞬間も大事なんだ。