何者 / 朝井リョウ
何者になりたいのか
何者になりたがっているのか
その問いかけは、決して就活生の専売特許ではない。
この人の小説は、良くも悪くも頭が痛くなるほど強く惹きつけられるということはない、でも不思議な色のドリンクみたいな。
飲んでみたら、たぶんおいしい。
そして、言葉の選び方が、鋭い。
若いからなのか、すごく「リアル」。
現実的、というよりは、リアル、という言葉がしっくりくる。
250ページあたりからの、瑞月の言葉に、ちくり。
たぶん、ここ書きたかったセリフなんだろうなぁ。
そう、もう同じ目線で見てくれる人などいない。
なりたかった者になれなかった私は。
なりたかった者を目指すことすら許さなかった私は。
ごまんといる中のひとりで、
ごまんといるから価値が下がるとかいうことは決してなくて、
それはある意味、自分以上にも、自分以下にもなれないという証。
それは楽でもあるし、辛くもある。
とか考えていたら、似たようなセリフが出てきた。
私はこの子か?
そっち側いけるかな?
もう一度、頑張れるかな?
斜に構えた姿勢は正そう。
ただ、がむしゃらになるのもやめておく。
私らしさは、淡々と。
やるべきことを、淡々と。
少し前まで、短い言葉で伝えることが親切だと思っていた。
けどそれじゃあ伝わらないものが多過ぎると気付く。
SNSは、あまりやらなくなった。
想像力のある人になろう。
そうしたらもう少し、ひとに親切になれるかしら。
最後は、ちょっと納得がいかない。
その後、どうなったの?
それぞれの関係性は?
どうしても、後日談が気になる性格でして。