明日の子供たち / 有川浩
不思議な感じ。ページがどんどんめくれていく。小説ってこんなに読みやすいんだっけ?そんな感覚が蘇る。決して妥協して選んだ本ではない。もちろん衝動もあったが、むしろ厳選を重ねたつもりだ。
勉強しなければ自分の価値がなくなると震えるほど本気で考えていた頃より、だいぶのんびりし始めた気がする。心のどこかにはちゃんと勉強しようという思いもある。
少しずつ、ちょうど良い私になる。
本はひとつのバロメーター。
有川さんらしい視点だと思った。
私は、この人の本を、デビュー当時からかなりの冊数を読んでいる。全部ではないけれど。
届かない声を届けたい、そういう想いを感じるものを書く人だと思っている。
主要な登場人物に、問題児ではなく問題のない子を選ぶのもとてもそれらしく思えた。
あっという間だった。けっこう分厚いと思っていたのに、2日くらい?
ずっと淡々とした気持ちで読み進めていた。登場人物の喜怒哀楽に左右されることはあまりなかった。
ただやっぱり、アッコのエピソードは、よかったね、とイノッチに言ってあげたくなった。
素子の演説は、目的がはっきりしていて、練られている。その過程ももちろん描かれているけれど、そこにいる人々の感情の変化が聞こえてきそうだった。
そして最後の数ページ。私の鼓動は高まる。そしてその予感は、解説で昇華した。
子供は未来への投資だ。今は選挙権を持たないけれど、いつか持つ。そういった政治や行政が持つ構造をある瞬間にパチリと気づかせてくれるのも、有川さんらしい。
たぶん、たぶん、たぶん、、
この子たちは大丈夫。