歴史をつかむ技法 / 山本博文
日本史をざーっと知りたい。
そんな気持ちでネット検索したら、複数のサイトでこの本がおススメされていて購入を決めた。
最初の半分は、歴史学とはなにか、歴史の根拠はどうやって決まるか、ということを中心に。
それこそ「歴史はどのようにそれが史実と決定されているのか」が書かれている。
それは、とても科学的手法で根拠のあるものだ、とするのが著者の主張。
で、私が読みたいと思っていた日本史の流れは、後半の半分がさかれている。
正直、思ったより前半が長くて、いつ日本史の中身に辿り着くんだと思いながら読んだ。
そもそも、他の本を読もうとして、自分に日本史の知識が乏しいことに気づき(受験は世界史選択)、先にざっと通史を理解しようと思って手に取った本だった。
後半の、古代から明治あたりまでの流れはわかりやすく、理解が曖昧なままだったことも少しはクリアにできたと思う。
特に私がよくわかっていなかった、古代の天皇家の皇位継承や、鎌倉〜室町〜戦国あたりの記載は散らかった知識を整理するのに役に立った。
ただ物事を述べるより、物事の要因を説明された方がすっと入ってくるもので、そこを明確にしてくれる本だった。
近代はほとんど記載がないので、あくまで江戸までと前提において手に取るとちょうどいいかもしれない。
そして最後に、歴史的考察、歴史的思考について。
この部分を読んだとき、ふと祖父の中国の戦争の話を思い出した。
といっても、祖父が話してくれたこと自体は覚えているけれど、小さかったものだから、内容はほとんど覚えていない。
漠然と、つなぎの軍服を着た若い頃の祖父が、(中国だからパンダのイメージから)笹の葉の茂みに隠れて逃げのびて、なんとか船に乗って日本に帰ってきたという、そんなイメージしか浮かばない。
歴史に「もし」は禁物か、という話もあって、個人的にはそれって結局ヒトの人生だって同じじゃないかと思う。
「もし」はありえなかった。
なぜなら、ならなかったから。
もう少し、日本史の勉強を続けようと思った。