流れ
人の溢れた構内で、みんなぶつからずに目的の方向へ進んでいく。
魚は身体で水の流れを感知できるから、群れでもぶつからないのだという。
人は、ときどきぶつかってしまうけど、魚と似たような機能を持っているのではないだろうか。
認識力、空間把握力、反射神経…
それらしい言葉はたくさんあり、きっとそれぞれ意味は持つのだけれど、どれもあの空間にしっくりくるものはない。
水の、たゆたう流れは美しい。
曲線の美しさをおもうとき、アール・ヌーヴォーを思い出す。
風に揺れる、青々とした緑を思い出す。
流れに逆らうのは、ときに格好良くて、ときに辛い。
美しい流れに乗りたい。
柳のようにしなやかに。
今日はなしたあの人は、もうすぐ新しい場所で生きていくあの人は、大変だと言いながら笑うあの人は、
きっと大丈夫。
時の流れを恐れる必要はない。
お腹が空いたら食べればよいし、
疲れたら眠ってしまえばよい。
勝手に背負いこんだ荷物はそっと心の隅に置いておこう。
空が青いから、それですべてオッケーってことにしよう。
思いついた歌を歌って、それでぜんぶハッピーってことにしよう。
ふと、6年前に書いた座右の銘を思い出す。
明日は、明日の風が吹く。