玉依姫 / 阿部智里
本を喰らうという感覚を久々に味わった。
八咫烏シリーズの文庫版の最新刊を吊革で知り、早速入手、1日で読み終わってしまった。
前までは、面白い本は進むのが早くてすぐに読み終わってしまうことが惜しいと感じていた。なぜなら、貪るほど面白い本に出会うことがあまりなかったから。
でも今は、それならまた新しい本を読めば良いと思う。
読み進むのが辛かったり、さして面白くない本でも、得られるものはあり、それは私の血肉となる。
面白い本がすぐに読み終わるならば、その分の時間を読みにくい本にあてられるではないか。
今まではきっと、自分にとって楽しく、取り組みやすく、安易な方に流れていたのだろう。さぁ食べず嫌いをなくそう。
でもたまには夢中になって食べるような、美味しいものも食べなくては。
ということで、本書の話になる。
ここから話がはじまったそうだ。作者が高校生のときに、この話を作り、そこから八咫烏シリーズが派生したとのこと。意外なような、それもそれでしっくりくるような。
異世界と私たちの現実世界がはじめて交錯した。
先に読んだ人からそれを聞いたとき、私は思わず警戒してしまった。心のどこかで、ファンタジーの世界はその中で形作られてほしいと少しだけ感じだから。
でもいざ読んでみると、しっくりきたというか、上からに見えてしまうけれど、「これなら」と思えるものだった。
前作を読んだのが随分と前だったから、違和感も少なかったのかもしれない。
それにしてもこの作者は少し曲がってるというか、主に人物設定が。こんなに裏を裏をといくものかと思うくらい。
とにかく早く、雪哉くんに会いたい(笑)