星を探す
昨日は、晴れた夜空から煌々とまんまるな月が見えた。
一昨日は、警備員のおじいさんに「今日は中秋の名月ですが、見えませんな」と粋な感じで声掛けられて、たしかに見えなくて少し残念だったけど、思い出して夜空を見上げて歩いたのは良かった。
開けた場所に行くと、夜空は広くて星も見つけやすい。
南を向いて北斗七星といっても見つけられない。
この国は、どこかに静かに、自由を置いてきてしまったよう。
静まりかえった水面の奥に、そっと衝立を置いて少しだけ流れを堰き止めて。
形式だけなら、そもそもやめてしまえば良いのに。
そのうちこの国は、隣の大きな国の真似っこをしはじめるのではないだろうか。
言葉は、自由であるべきだ。
私たちの言葉は、あの星の向こうには届かないから。
せめて伝えられる場所には伝わるように。