On the way

思いつくまま気の向くまま

二つの文化と科学革命 / C.P.スノー

読みづらいと感じたのは、おそらく翻訳が原文に沿った訳し方をしてわかりにくくなっているのと、原文の英語独特の言い回しが原因だと思う。

 

しかし、やっと本棚で順番待ちしていた本書を読み終わることができた。

実は、もう少し前に一度手に取り、数ページ読んで閉じたのだ。何を書いているのか、わからなかったから。その後、「わからない場合は、わからないまま読み進めろ」と言われ、また、前の本にも本書について言及があり、なんとか重い腰を上げたのが今回だった。

 

概略は掴めたと思う。1990年代の解説を含め、時代背景と当時の著名人の詳細や感覚は知らないことやわからないことが多いが。

ざっくり言うと、文学に造詣の深い知識人と科学者の間には、大きな溝があり、その溝を埋めるなり越えるなりして相互に理解し合い手を取ることが必要だという話で。

なぜ二つの文化の相互理解が必要なのかというと、産業革命と科学革命を経て豊かになった西洋諸国(米国含む)は、発展途上国(今では少し古い言い方かもしれない)の生活をより良くする、幸せを分ける活動をしなければならないからだという。

 

これはリード講演が1950年代、補足が1960年代、他者により解説が1990年代になされた本である。

 

解説から30年近く経とうとしている今、さらなる科学の発達は著しい。

もはや日々を構成しているシステムの全てを理解するのは到底不可能だ。

 

でもここ数十年、もしくは十数年、文理融合が学術界で叫ばれているのはこの講演がきっかけだろうか。たぶん。

最初はほんのさわりの紹介、次はがっつり解説付きの紹介と、色んな本の中に本書の名前を見つけた。

時代を遡りその原書に今回、辿り着いたのだ。そのため、この本がどんな趣旨を持った本なのかの予備知識があったため、読み終えることができたと言っても過言ではない。

 

今の時代では当然の価値観を最初に提示するということに意味がある。こういう類のことは、ファーストペンギンでなければ意味がない。

だからこそ、繰り返し言及され、語り尽くされるのだ。

 

読めて、読み終わって、よかった。